「年内入試」とは?話題の入試方式と東洋大学の例を徹底解説!
皆さんは「年内入試」についてご存じですか?
近年、関東圏の大学受験では「年内入試」というワードがよく取り上げられ、大きな話題となっています。
今回は、この「年内入試」がどういうものかを説明した上で、東洋大学の入試がどうして話題になっているかを解説いたします。
年内入試とは?
「年内入試」とは、通常は1月~3月にかけて行われる「一般入試」と異なり、共通テストより前の12月までに試験を実施し、合否が決まる入試方式です。
受験生の皆さまが大学にとって求める人物像に合致するかどうかを、書類審査・面接、場合によっては小論文などを通じて評価されます。
基本的に学力試験は課されませんが、この点については例外があるため、後述します。
この方式のメリットは合格発表が早いため、受験生が早い段階で進路を確定できる点にあります。それにより、大学受験の戦略が有利にすすめられたり、精神的な安心感を早期に得られたりなど、メリットが多い入試方式です。
「年内入試」は大きく分けると以下の二種類になります。
学校推薦型選抜
高校からの推薦を受けて出願する方式で、指定校推薦と公募型推薦があります。
どちらの方式も、学校での評定平均が一定以上でないと出願できない点が共通しています。
いずれも高校1年生からコツコツと学習の成果を積み上げなければならないため、長期的な受験対策が必要です。
総合型選抜
こちらは高校からの推薦が原則不要で、出願にあたって必要な評定が設けられていないことも多いです。
そのため、より多くの受験生にチャレンジの機会が設けられている入試方式です。
そうした一方で、高校での活動実績や個性、志望動機など、自分の魅力を存分にアピールする必要があります。
また、出願のハードルが低いため、倍率も高くなりがちな傾向があり、決して楽な入試方式であるとは断言できません。
なぜ東洋大学の「年内入試」が話題に?

2024年、東洋大学は「学校推薦入試 基礎学力テスト型」として学力試験を年内(12月)に実施しました。
この方式は、従来の面接や小論文、推薦書といった多面的評価を省き、ほぼ基礎学力だけで合否を決定します。
多くの受験生にとっては準備の負担が軽く、年内に合格を決めることができる点が大きな魅力となりました。
出願条件
学校推薦型選抜でありながら、評定平均値の基準が設けられていませんでした。
ただし、学校からの推薦書は必要なので学校での手続きは必要です。
試験内容
面接・小論文などの試験が不要で、学力試験の成績で合否が決定されました。
また、学力試験は「英語・国語」または「英語・数学」の2教科で実施され、外部英語試験のスコアも活用可能でした。
つまり、英検のスコアがある一定以上のレベルであれば実質的には一教科で受験できるという形です。
併願の柔軟性
他大学や東洋大学内の他学部との併願が可能でした。
入学手続きの日程が2月末までのため、年明けの一般入試が本命の受験生にも活用できる柔軟性がありました。
入学検定料は2出願まで一律35,000円、3出願目以降は1出願につき一律20,000円
東洋大学入試情報サイト
どんな受験生にメリットが?

受験生にとって、従来型の「年内入試」に向けた準備は非常に大変です。それは、面接や小論文の準備に時間と労力がかかるからです。
ましてや一般入試の準備と並行してとなると、より一層の事前準備が必要です。
そんな中で学力試験だけで受験出来て、入試科目も少なく、併願しやすい「年内入試」があるとしたなら、多くの受験生にとってメリットの大きい入試になるわけです。
併願校として東洋大学を選ぶ受験生
MARCHクラスを第一志望とする受験生にとって、以下の点で東洋大学の「年内入試」は非常にありがたいです。
入試科目も学力試験のみですから、言ってしまえば一般入試が年内に行われているようなものです。
- 入試科目が少なく、英検を取得しておくと過去問演習の負担が減る
- 入学手続きの〆切が二段階式になっており、二段階目の期限が2月末まで設けられている
- 合格できれば年内に押さえを確保して第一志望の受験に専念できる
第一志望として東洋大学を選ぶ受験生
単純に受験の回数を増やすことができますから、それだけでも魅力的な入試方式です。
また、学部を超えた併願もしやすいので、「何があっても東洋大学に入学したい!」という熱い受験生にとっても、かなり魅力的と言えるでしょう。
- 入試科目が少なく、英検を取得しておくと過去問演習の負担が減る
- 単純に受験の回数を増やすことができる
- 学部を超えた併願もしやすい
- 最悪不合格でも一般入試でリベンジできる
唯一にして最大のデメリット

ここまで良いことづくしでしたが、デメリットも併せて見ていきましょう。
ところで、先日執筆したコラムを覚えてますでしょうか?
そう、入学金の問題です。
東洋大学の「年内入試」では合格発表の後、年内に入学金を収める必要があります。その値段は250,000円です。
第一志望として東洋大学に入学する受験生には影響ありませんが、併願校として押さえておく場合には無視できない要素です。
納付した入学金および入学申込金は、「東洋大学の合格した学部学科・専攻に入学し得る地位を取得するための対価」としての金員であるため、入学を辞退した場合を含め、事情の如何にかかわらず返還しません。また、提出した書類は返還しません。
東洋大学入試情報サイト
例によって返還は認められないため、やはり負担の大きい金額であることには変わりはありません。
今年度はどうなる?
そんなこんなで結果的に志願者数が約2万人になるなど話題となったこの入試方式ですが、少しだけ変更があるようです。
学校推薦型選抜から総合型選抜へ
件の「年内入試」は「学校推薦型選抜」の形をとっていたわけですが、実際は学力試験で合否を判定していました。
しかし、文部科学省が定めた大学入学者選抜実施要項において、個別学力検査は2月1日から3月25日までの間で実施するよう定められていました。この点が争点となり、ニュースでも取り上げられ話題となっていたわけですね。
これを受けて東洋大学側からはこんな発表がありました。
基礎学力テスト型入試のあり方を「学校推薦型選抜から総合型選抜へ変更する方向で検討している」と発表しました。
東洋大学が学力テスト形式の「学校推薦型」の年内入試を「総合型選抜」に変更へ 高校からの推薦書は不要に(4/2水 閲覧)
入試方式が変わっただけ?と思われる方もいらっしゃると思いますが、受験生にとっても以下のようにメリットがあります。
- 学校推薦型では学校からの推薦が必要だった = 手間がかかってしまっていた
- 総合型であれば学校からの推薦が不要 = 受験生も学校の先生も手間が省ける
本コラムの冒頭でお話した通り、学校推薦型はその名の通り学校からの推薦が必要な入試方式です。総合型であればその推薦は原則不要になりますから、受験生だけでなく学校の先生方にとってもメリットがある変更となります。
あれ、結局学力試験を年内にやっていいの?
条件があるようですが、以下のような形で実施を認める方針になっています。
面接などと組み合わせることや、高校の学修状況に配慮する問題とすることを条件に、総合型・学校推薦型選抜でも学力テストを実施できる方向で検討されることになりました。
東洋大学が学力テスト形式の「学校推薦型」の年内入試を「総合型選抜」に変更へ 高校からの推薦書は不要に(4/2水 閲覧)
「面接などと組み合わせる」ことが求められ、やや受験生の負担は増えそうです。
小論文のような対策のために時間を要す試験が課されるのであれば、それはもう従来の学校推薦型選抜と変わりがありません。
ですから、志望理由書などの事前に準備できる書類の提出程度で済むのでは、と当塾は考えています。
しかし、具体的にどうなるかについては、6月~7月に各大学で発表される募集要項の確認が必要になりますね。
一方で、関西圏の大学では「年内入試」の学力検査は一般的です。なぜ今回の東洋大学の件が国から指摘されるに至ったかについては謎に包まれています。
まとめ
「年内入試」には学校推薦型選抜と総合型選抜の2種類があり、従来は面接や小論文を伴う多角的な採点で合否が決まっていました。
しかし、東洋大学が実施した学力試験のみで合否を判定した「年内入試」が話題となり、今後の関東圏の入試方式に変化が出てくることが予想されています。
- 「年内入試」は、早期に合否が決まることで受験生に安心感を与え、戦略的な受験計画を立てやすくするメリットがある
- その中でも東洋大学が実施した「年内入試」は、一般入試を志す受験生にとってメリットの大きい入試
- ただし、併願校として「年内入試」を受験する場合は入学金を収めなければならない可能性が高い
- 新高3生は、今年用の募集要項を要確認!
入試方式の選び方が不安な方は
当塾の生徒の皆さまには、このような年内入試はもちろん、一般入試も踏まえた志望校選びをサポートいたしております。
入学金の問題も含めて、それぞれのご家庭にマッチした進路指導を積極的におこなっています!
また、大学受験ではこのような取り組みに加えて、学習時間の配分や志望校の対策といった、ひとりひとりに最適化した受験戦略が必要不可欠です。
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参考
- 東洋大学入試情報サイト(https://www.toyo.ac.jp/nyushi/)
- Yahoo!ニュース(https://news.yahoo.co.jp/articles/cc481ba30c159c8cdd8f7175dfbbabd123393b35)