英文法を効率的に学習するために
英語の文法を効率的に学ぶには、科学的な研究や教育理論を取り入れることが重要です。このページでは、具体的な方法とその裏付けとなる論文・研究をもとに、効率的な学習法を提案します。
これから紹介する方法は、実験結果や研究に裏付けられたものですが、すでに普段の学習に取り入れている方もいるくらい取り組みやすいものばかりです。大学受験生以外にも、高校1年生や中学生の皆さんにも効果的に文法を習得する手助けになるでしょう。
内容をわかりやすくするために簡潔にまとめていますが、さらに詳しく知りたい方のために、参考文献に具体的な研究者や論文を記載していますので、ぜひそちらもご参照ください。
インターリービング学習 (Interleaved Learning)
同じテーマを連続して学ぶより、異なるテーマを組み合わせて学ぶ方が効果的であるとする研究が多数あります。これは、異なる内容を交互に学ぶことで、脳が各テーマの特徴をより深く理解し、記憶の定着が促進されるためです。
例えば、動詞の時制を学ぶ場合、常に「現在形」「過去形」「未来形」を順番に学習するのではなく、時々ランダムに組み合わせて練習することで、理解が深まります。
具体的な実践方法は以下の通りです。
- 時制をひと通り学習し終えたら、順番をランダムにして復習する
- 助動詞をひと通り学習し終えたら、順番をランダムにした上で時制にも注意しながら復習する
当塾の確認テストでは、このインターリービング学習を踏まえたランダム形式で演習問題を提供するシステムを導入しています。これにより、効率的に異なるテーマを組み合わせて学べる環境を提供しています!
エラー(間違い)を活用した学習
人間は間違いを経験することで、正しい知識を学びやすくなるという研究結果があります。特に、間違えた箇所を振り返り、原因を分析することで、記憶の定着や理解が深まります。そのため、問題を解いた後、間違えた箇所を分析し、正しい文法ルールを再確認することが重要です。
具体的な実践方法は以下の通りです。
- 間違えた問題の解説をよく読み、正解を再確認する
- 再確認の中で「どうして間違えたのか」を書き出し、同様の間違いをしないようにする
間違いから学ぶということは、学習において非常に重要な過程です。
失敗を恐れず、その原因を分析して次回に活かすことで、さらに理解が深まり確実に実力を伸ばすことができます!
マルチモーダル学習
視覚、聴覚、触覚などの五感を組み合わせた学習は、記憶定着を高めることが科学的に証明されています。五感を活用することで、情報が脳に複数のルートで記憶され、理解が深まります。
例えば、参考書で学習した完了形を映像授業で再度おさらいしたり、おさらいした内容を自分の言葉でノートにまとめることです。
近年、「紙に書く作業は無駄」といわれることがありますが、それは皮相の見解です。
確かに、わかっていることを繰り返し書くのは効率的ではありません。しかし、自分自身が理解に苦しんだり、一度覚えたのに忘れてしまったポイントをノートに書き出すことは、記憶を定着させるために非常に効果的です。ノートに書くという行為は、手を使って内容を整理することで、脳が情報を深く処理し、記憶を強化します。
具体的な実践方法は以下の通りです。
- 学校の授業で先生が説明した重要な部分をノートにとる
- 学習を進める中で理解不足だと感じた部分を映像授業でもう一度学習する
- 参考書・映像授業で繰り返し学習した要点をノートにまとめる
マルチモーダル学習は、エラーを活用した学習と非常に相性が良いです。間違えた部分に対して、視覚や聴覚、触覚を使って学ぶことで、エラーを深く理解し、記憶として定着させることができます。例えば、間違えた文法の例をノートに書き、映像授業で再確認といった手順で復習することで、より確実に覚えられるでしょう。
自己参照効果 (Self-Reference Effect)
学習した内容を自分に関連付けて学ぶと、記憶に残りやすいことが科学的に示されています。これは、学んだ情報が自己に結びつけられることで、脳がその情報をより深く処理し、記憶の定着が促進されるためです。
例えば、完了形を学んだ際に、自分の経験を元に例文を作成することが非常に効果的です。成田市近辺の高校生であれば、修学旅行で京都に行ったことがある方も多いでしょう。その経験を想定して、完了形を使って京都への修学旅行についての例文を考えてみました。
I have traveled to Kyoto on a school trip before.(現在完了形)
(私は以前、修学旅行で京都に行ったことがあります。)By the time we traveled to Kyoto, we had already researched some popular tourist spots.(過去完了形)
(私たちが京都に旅行した時には、すでにいくつかの人気観光スポットについて調べていました。)I will have traveled to Kyoto for my school trip by next spring.(未来完了形)
(来春までに、修学旅行で京都に行っていることだろう。)
このように、自分の経験を英語の文にしてみることで、学習した内容がより強く記憶に残ります。
特に、英語検定をはじめとする外国語検定では、面接の際に自分のことについて話す必要があります。自己参照効果を活用して、自己紹介や面接の準備をすることで、話す内容がより自然に、かつ自信を持って表現できるようになります。英検2級以上を目指すのであれば、必ず実践しましょう!
他の科学的な学習方法
他にも効率的な学習のアプローチはあります。英単語の覚え方を紹介した記事では以下の学習方法をご紹介しています。
いずれも文法の学習にも大変役立つので、ぜひ併せてご覧ください。
- 間隔を空けて復習する(スペースド・リピティション)
- 結びつけて覚える(二重符号化理論)
- 文脈で覚える(文脈依存記憶)
- 自分で能動的に思い出す(アクティブリコール)
まとめ
英文法を効率よく身につけるためには、以下の4つの学習方法が有効です。
- インターリービング学習 (Interleaved Learning)
- エラー(間違い)を活用した学習
- マルチモーダル学習
- 自己参照効果 (Self-Reference Effect)
受験勉強を進める中で、自分がなぜこの方法で勉強しているかの理解を深めていけば、日々の勉強にも自信が持てるようになります。
入試当日までの学習の質を高めることで合格の確率も高めていきましょう!
更に効率的で実践的な学習を進めたい方は
今回ご紹介した勉強方法は、あくまで勉強の取り組み方に過ぎません。
大学受験では、そうした取り組みに加えて、参考書の配分や志望校の対策といったひとりひとりに最適化した受験戦略が必要不可欠です。
大学受験専門塾Vistudyでは、科学的根拠に基づく学習方法を元に、少人数の定員制を活かしたプロコーチの指導が受けられます。
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参考文献
- Rohrer, D. (2012). Interleaving helps students distinguish among similar concepts. Educational Psychology Review, 24(3), 355-367.
- Metcalfe, J. (2017). Learning from errors. Annual Review of Psychology, 68(1), 465-489.
- Mayer, R. E. (2009). Multimedia Learning. Cambridge University Press.
- Fletcher, J. D., & Tobias, S. (2005). The multimedia principle. In R. E. Mayer (Ed.), The Cambridge Handbook of Multimedia Learning (pp. 117-134). Cambridge University Press.
- Symons, C. S., & Johnson, B. T. (1997). The self-reference effect in memory: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 121(3), 371-394.
- Rogers, T. B., Kuiper, N. A., & Kirker, W. S. (1977). Self-reference and the encoding of personal information. Journal of Personality and Social Psychology, 35(9), 677-688.
- Brown, P. C., Roediger, H. L., & McDaniel, M. A. (2014). Make It Stick: The Science of Successful Learning. Harvard University Press.