文部科学省の入学金に対する認識がわかる!
入学金の負担軽減のメリットとデメリットがわかる!
この度、文部科学省から私立大学に向けて『私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)』という、「入学料」に関する経済的負担を軽減するための通知が出されましたので、その内容をお伝えいたします。

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現状と課題について
現在、私立大学の入学料は、原則として、一度納付すると、たとえその大学に入学しなくても返還されないものとされています。
これは、入学料が「その大学に入学できる資格を得るための費用」と位置づけられているためです。
近年、総合型選抜など、一般選抜より前に複数の大学を受験する機会が増えています。
そのため、多くの高校生が、実際に進学しない大学に対しても入学料を複数回支払うケースが増えており、これが学生や保護者にとって大きな経済的負担となっていることが、国会などでも度々指摘されていました。
文部科学省が大学に求めていること(令和8年度入試から)
このような状況を踏まえ、文部科学省は各私立大学に対して令和8年度の大学入学者選抜に向けて、以下の点について検討し、必要な対応を行うよう求めています。
入学料の趣旨や考え方の説明強化
各大学が設定している入学料の金額や納付期限について、その目的や考え方を学生や保護者の皆様に積極的に説明し、理解を得るよう努めること。
入学料の金額の抑制
学生の経済的な負担を軽減する観点から、入学料の金額を抑えるよう努めること。
入学しない学生の負担軽減策の実施
実際には入学しない学生が納付する入学料による負担を軽減するための具体的な方策を講じるよう努めること。
その際には、特に以下の点を考慮することが望ましいとされています
- 複数の大学への入学料納付が、経済的に困難な学生の進路選択の幅を狭めないよう、特別な配慮を行うこと
- 入学料の納付時期を複数回に分けるなど、納付時期の設定を柔軟に行うこと
- 入学辞退の意思表示が、大学が別の入学者を決定できる時期かどうかという観点も考慮すること
既存の支援策について
大学側は、経済的な理由で修学が困難な学生に対して、独自の学費減免や分割納入、納付時期の猶予などの措置を積極的に講じるよう求められています。
特に、「高等教育の修学支援新制度」を利用する学生については、支援対象者としての認定が行われるまでの間、授業料の納付を原則として猶予することになっています。
これっていいことなの?
今回の通知は、皆さんの大学受験における経済的負担を少しでも軽減しようとする国の動きを示すものです。
大学受験を控えた受験生や保護者様にとっては、純粋に負担が減る方向性で考えてよいと思います。
しかしながら、受験生にとっては経済的負担の軽減というメリットがある一方で、大学運営の観点からは、以下のような問題が生じる可能性があります。
大学収入への影響と財政基盤の弱体化
まず、大学の収入と財政基盤に影響が出る懸念があります。
私立大学にとって、入学料収入を含む学生納付金は、その収入の多くを占める重要な財源です。
現在の制度では、最高裁判所の判決に基づき、入学料は学生がその大学に入学し得る地位を取得するための対価とされており、一度納付されると、その後に在学契約が解除されても大学は返還義務を負わないとされています。
これは、大学が安定した財源を確保する上での基盤となっています。
しかし、今回の通知では、学生の経済的負担軽減の観点から、入学料の額の抑制に努めることや、入学しない学生が納付する入学料に係る負担軽減のための方策を講じるよう努めることが求められています。
これには、返還や納付時期の柔軟な設定などが含まれる可能性があります。
こうした変更により、これまで見込まれていた入学料収入が減少する恐れがあります。
結果として大学の財政基盤が弱体化し、教育研究活動への投資や施設の維持管理に支障をきたす可能性も考えられます。
加えて、私立大学全体で入学料の額が低下傾向にあることを考慮すると、さらなる抑制や柔軟な対応は、一部の大学にとって深刻な経営課題となりかねません。
入学定員管理の困難化
次に、入学定員管理が困難になるという問題も生じえます。
今回の通知の中で、「入学料の納付時期を複数回設定するなどの柔軟な対応が望ましい」とされていることや、入学辞退の意思表示の時期が「大学において他の入学者選抜等により辞退者の代わりの入学者を決定することができる時期かどうか」という観点が重視されていることに着目して考えていきましょう。
もし入学料の返還が容易になったり、最終的な入学辞退の意思表示が遅れたりするようであれば、大学はより遅い時期まで入学者の確定を待つ必要が生じる可能性があります。
これにより、定員を満たすための追加の入学者選抜を行うことが難しくなり、結果的に定員が未充足となるリスクが高まります。
定員未充足は、授業料収入の減少にも繋がりかねず、大学の安定的な運営に悪影響を及ぼす恐れがあります。
まとめ
今回の通知は、受験生や保護者の皆さまにとっては朗報と言えるものでしょう。
しかし、そうした一方で、大学側の経営基盤の弱体化という視点から見ると、結果的にはどこかへしわ寄せがいくようになっていることがわかります。
特に、大学における教育研究活動への投資が減ることは、国の未来を担う研究にも深刻な影響が出ることに繋がります。
教育への投資は未来への投資です。教育への投資を軽視することが、将来にどのような影響を及ぼすかは、社会全体で考えるべき重要な課題です。
そして最も大切なのは、私たち社会全体の意識です。
今回の問題を単なる「入学料」の問題として矮小化するのではなく、日本の高等教育を誰がどのように支えるべきかという、より大きな議論のきっかけと捉えるべきです。
高等教育というものが学生の負担に大きく依存する現在の構造そのものについて、社会全体で議論を深め、未来への投資としての高等教育をどう支えていくか、コンセンサスを形成していく必要があります。
この通知は、日本の高等教育が抱える構造的な課題を映し出す鏡とも言えます。
今後の各大学の対応はもちろんのこと、国や社会全体がこの問いにどう向き合っていくのか、長期的な視点で注目していくことが重要です。
今後の各大学の対応に注目していきましょう!
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参考
- 文部科学省『私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)』https://www.mext.go.jp/content/20250626-mxt-sigakugy-000013858_1.pdf